2012/09/18

フィンランドのナイフ - エマンナン・ヴェイツィ

さてさて、実に一ヶ月以上更新が開いてしまいました。

今回は、このシーズ3本目のフィンランドナイフ、"エマンナン・ヴェイツィ"の紹介。


フィンランド語で書くとEmännänveitsi。これは2つの単語 "Emäntä"と"Veitsi"から成っています。

"Veitsi"(ヴェイツィ)は以前紹介したように包丁の意。そして"Emäntä"(エマンタ)、これは家事を切り盛りする人を指した言葉で、その家の女性のことです。つまり、エマンナン・ヴェイツィ(Emännänveitsi)とは女性が使うナイフになります。

ナイフ&シース>Ilkka Seikku

で、このエマンナン・ヴェイツィ、すべてが金属です。一本の鋼から刃と柄をすべて打ち出して作られるのですが刃の形状は色々とあります。
上の写真の物は魚や肉類を加工するのに便利なように作られた物で刃の形状がそりあがっていますが、この他には文化包丁の様な形をした物や、菜切りの様な形状をした物などが一般的です。

シースは白樺の樹皮を編んだ物を使う事が多く、ベルトループになる部分はありません。この白樺の樹皮で作るシース、ナイフの用途を考えると実に理にかなった物なのです。
白樺の樹皮はとても湿気に強くそして抗菌作用があります。森などを歩いていると、倒れた白樺の木を目することがあるのですが、それらの倒木、幹は腐り果て樹皮だけほぼ完全な状態で残っています。これは白樺の樹皮に含まれる油分とその油分に含まれる抗菌成分のため。
水周りで食材を切るための刃物のシースとして、そんなことを知ってか知らずか、昔からエマンナン・ヴェイツィのシースは白樺樹皮が使われてきました。

日本の包丁の感覚からするととてもナイフにしか見えないエマンナン・ヴェイツィ。その大きさも通常のプーッコと同じくらいの10cm前後の刃渡り。家庭で使う包丁としては使いにくい様な感じを受けるかもしれませんが、フィンランドの料理を考えればこれで十分。根菜の皮をむく、肉や魚をを切り分けるなどした後は鍋に入れて煮るか焼くだけの単純な料理です。まな板の上で丁寧に切り分けるといったこともあまりしません。キャンプで料理するような感覚で使う包丁、こういった感じが一番自然なのでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿