2014/03/18

裏山ブッシュクラフト #22 タープシェルター (Tarp Shelter)

裏山ブッシュクラフト、今回はタープシェルターの紹介です。

タープをシェルターとして使うので『タープシェルター』と呼ばれますが、これはオープンシェルターの部類になります。シェルターとしては最も原始的といいますか、最もシンプルで基本的なシェルターです。しかし、ドーム型テントが主流になっている現代、敷居の高いサバイバルなシェルターになってしまっているようです。

今回紹介したいのは色々あるタープ中でも3mx3mの物です。このタープ、フィンランドでは特にErätoveri(エラトヴェリ)もしくはETと呼ばれます。Erätoveriとは訳すとウィルダネス・コンパニオン(荒野の相棒w)の意味になり、つまりは『これさえあれば寝る場所に困らんぞ!』というすごいシェルなのです。

で、何がすごいのか?といいますと・・・
>多様な形のシェルターを組めるので、気分や状況に合わせて都合の良いシェルターを設営できる。
>パッキング時のサイズが小さく軽い。
>ペグや支柱などは基本現地調達。
>メンテナンス、修理が簡単。
等々あります。

が、
>基本オープンなのでプライバシーの確保が難しい。
>使い方をよく理解していないないと悲惨なキャンプ体験となる。
等の不便な点もあります。


タープシェルターの張り方色々>
ETシェルターは本当に多くのパターンで張ることが出来ます。その一部ですが、私が実際に利用したことのある張り方で、実用的な張り方をいくつかここで紹介しておきます。



  • 写真内のシェルターモデルは1/10サイズ(30cmX30cm)です。
  • 黒い棒のような物は人のモデル、長さ20cmです。
  • それぞれの張り方の名前も紹介しておりますが、必ずしも正しい名前、通名で無い場合があります。







ダイヤモンド
最も基本的な張り方で、設営が簡単です。
2人+荷物少々のスペースがあります。
設営に必要なスペースが広く、使えない床面積が大きいのが問題です。

水平に、空中に浮かすように張ると、ダイヤモンドフライとなります。

風向きに平行となる様に設営します。




ペグは、タープの底辺が地面に出来るだけ密着するように打ちます。隙間があると風が集中して抜けるので寒くなります。

頂点1は出来るだけ高く固定します。低いとタープの水はけが悪くなり、また、内部空間に余裕がなくなります。

ポイント19をロープなどで引き、ボリュームを持たせるのも良い方法です。

写真のモデルは基本形なのでそうしてありませんが、ポイント9は内側に折り込んだほうが良いです。




ロウエ
 

私の自作タープで可能な形ですが、お勧めなので紹介しておきます。
フィンランドのオープンシェルターLoueと合わせて使うことが出します。
ダイヤモンド型より設置面積が狭く、床の殆どが有効面積となります。
風向きと平行に設営します。
1人+荷物のスペースがあります。2人も可能ですが窮屈です。
ダイヤモンドとの違いは、半円錐形になることです。



20,21,22のペグは、タープの底辺が地面から10cmから15cm浮くように、ガイラインを追加して打ちます。
底辺に隙間が出来ないように気おつけます。

頂点1は出来るだけ高く固定します。低いとタープの水はけが悪くなり、また、内部空間に余裕がなくなります。

ポイント19をロープなどで引き、ボリュームを持たせるのも良い方法です。





ロウエ(前フラップ付き)
ロウエのバリエーションです。
基本的にロウエと同じですが、フラップが付くことで、シェルター内の保温性が良くなります。また、頂点が低くなり、ハーフティーピーに近くなりますので、風にも強くなります。







ポイント17が頂点になります。
ポイント1,2,16はまとめて地面、木などへ固定します。









ロウエ(ハーフサイズ)
もう一つロウエ型ですが、こちらはタープ半分をグランドシートとして使えるので紹介しておきます。
一人が限界の大きさです。一泊に使うには少々窮屈です。短時間の利用、荷物置き場用等の使い方が良いかと思います。






1を頂点とし、19は地面から10cm~15cm浮くように、ガイラインを追加して打つとスペースが少し広くなります。










アローヘッド
もう一つタープの一部をグランドシートとして使えるシェルターを紹介。
一人が限界の大きさです。一泊に使うには少々窮屈です。短時間の利用、荷物置き場用等の使い方が良いかと思いますが、設営はとても簡単です。

風向きに平行もしくは斜め後ろから、となる様に設営します。形的に錯覚を起こしやすいので、設営時の風向きに対する角度設定に気おつけてください。



ポイント1が頂点になります。
ポイント5&9はまとめて一本のペグ。
ポイント6&8もまとめて一本のペグ。















リーンツー(フラップ付)
リッジランが必要となるので丈夫な支柱二本が必要になります。
1人+荷物のスペースがあります。2人も可能ですが窮屈です。
床すべてが有効面積です。
前屋根が大きく出ますので焚き火を雨から守り易いです。
ロングファイヤーと併せると、とても効果的にシェルター内を暖められます。

風向きに平行となる様に設営します。



ポイント3と15はリッジラインに固定します。

ポイント1は紐で地面や木などに固定します。また、頂点1はリッジラインより低くなる様にしてください。水平付近だと雨水が溜まります。

ポイント19を使って更にボリュームを出すと良いです。








リーンツー
最もシンプルなリーツー型です。
4~5人くつろげます。
夜を過ごすためのシェルターとしてはお勧めしませんが、風除け、日よけとして使うには良いです。。

風は後ろから。
これに前から風が吹き付けるとかなりのストレスがかかります。支柱、リッジラインの紐は出来るだけ丈夫な物を選んでください。




ペグは打てるポイント全て(5~9)に打ちます。
リッジラインへの縛りつけも、使えるポイント全て(1、13~16)を使います。
ポイント19を使ってばたつきを抑えると更に良いです。









リーンツー(グランドシート付き)
リーンツーとほぼ同じですがシェルターの一部をグランドシートとして使います。

グランドシート部の大きさを調整することで1~2人ほど横たわれる広さがあります。




グランドシート部を小さくしたい場合はポイント4-10のラインで折ります。









Aフレーム

 最も良く知られたタープシェルターの形です。設営がとても簡単で、3人程がはいれる広いスペースがあります。

宙に浮かすように張り、ハンモック泊用のシェルターにするには良いですが、両側が開いてますので風抜けがよく寒いです。


モデル写真ではリッジラインがタープの下を通ってますが、タープの外に渡した方が雨水が伝わって浸入してくるのを防げます。

風は前か後ろからあたる様に設営します。











ぺナ・ラーブ(pena laavu)
フィンランドでよく見る変形ラーブ、ぺナ・ラーブ型です。片側だけですが閉じてますので保温量くは大きく上がります。
少々窮屈目の奥行きですが、2人入れます。

風は横から当たる様にすると入り口直前で焚き火が使えます。





後方部となる折り返し部分が少し面倒なシェルターです。














Aフレーム (閉鎖型








ここで紹介するもので、唯一プライバシーを確保できる形です。Aフレームの形から両側の裾を折りいれ、閉じることが出来ます。2人入れる広さがありますが、奥行きは窮屈です。


設営は、ポイント1と5、13と9を縛り合わせてから行うと張りやすいです。















張るときの注意点や、タープシェルターの使い方に関してはビデオ内で説明していますので、そちらをご覧ください。






2014/03/15

IWG week 16 - 27

IWGウィルダネスガイドスクールの記事、久しぶりのアップになります。年が明けてからというもの、本当に忙しかったです。インターシップ、ガイド試験の準備、スキートリップの準備、ネイチャーノリッジのテストなどなど次から次へと・・・
と、そんなわけで、第16週から26週分をまとめて紹介です。

昨年末は第一回目のインターンシップを、タンペレにある会社、Hiking Travel HITにてやらせてもらいました。仕事の内容は、雪中トレッキングに使うソリの製造。この会社はガイドの仕事の傍ら、このソリやカヌーなどを作っていまして、その工場にて2週間でした。

年が明けて学校に戻ってからはガイド試験となる24時間ツアーの準備そして一週間のスキートリップの準備。

24時間ツアー 
チームビルディングスポーツの火熾し競争
これは実際に商品を自分たちで開発、販売し、購入してくださったお客様をガイドする本番です。そして、このガイド中は2人の試験官が付き添い、サービスの内容とクオリティーを試験として評価されます。
提供したサービスはセイツェミネン国立自然公園内にある木こりのキャビンを利用した一泊二日のツアー。100年林業の手が入っていない森をネイチャーガイドし、チームビルディングスポーツなどのエンターテイメントも提供しました。
古い森を案内しながら、野生動物の話、森のエコサイクルなど様々な自然についての話をし。チームワークを高めるためのゲームとして、ウィルダネスでの基本技術を実践してもらう。お客様も私もとても楽しく過ごせた24時間となりました。
勿論、ガイド経験としてもとても有意義で、試験官からとても多くの評論をもらえたのは嬉しいことです。


夜の木こりのキャビン



スキートリップ
荷物運搬用のソリ。スェーデン軍の木製です。
元々は、もっと学校の近くでこのスキー実習は行われる予定だったのですが、今年フィンランドは本当に雪が無い!そこで仕方が無いので北へ車で11時間ほど移動し、Hossaにて行われました。これだけ車で北上して、やっと60cmほどの積雪。1m強が望みでしたが仕方がありません。





旅の内容はビデオの方を見てもらうとして、ここで紹介したしたいのは今回新しく加えた装備2点。

- ノキアンの長靴

今回の旅で使用した唯一の靴はこの長靴です。Sorelなど色々な冬用ブーツを使って来ましたが、はっきり言ってこの長靴が最高です!
ウール100%の1cm厚インナー、厚い靴底でとても暖かい。また、フォレストスキーのスキーブーツとしてそのまま使える。





- ETシェルター
このシェルターに関しては前回のアップで詳しく紹介していますが、こんかいの旅で実際に使ってテストできました。予想していたとうりの使いやすさ。熱反射も感じられ、大成功!という感じです。







"Hiking Travel HIT"でのインターンシップ

日没後の氷上カフェ.
スキー実習から戻り、休むまもなく第二期の実習に突入です。今回も同じ会社ですが、仕事の内容は全く違う物でした。
タンペレ、ネシ湖の灯台脇で氷上カフェを開いたり、ノルディックスケートのレンタルサービス、そしてスケートトレッキングのガイドなど、タンペレで楽しめるウィンタースポーツを色々と知る良い機会となりました。
また、ガイドアシスタントとしてスケートトレッキングに参加できた事は、プロのガイドの仕事を学べる機会でした。

それにしても氷は奥が深いです。毎日表情が変わり、同じ様な状態でもよく観察するとその構造の違いで丈夫さ大きく変わります。氷の割れ方を取ってみても様々あり、それらの状態から氷の安全性を予測する方法を勉強できたのは大きな収穫です。

スケートトレッキングの様子をビデオに収めることができましたのでリンクしておきます。本当にすばらしい景色を楽しめた日でした。