サーミナイフだとかサーメプーッコなどと呼ばれるナイフですが、それは南の人間の呼び方で、日本本土の人がマキリをアイヌ小刀と呼ぶのと同じ。オリジナルの名前はuuna-niibas(ウーナ・ニーバス)です。
その装飾がとても北方民族の物独特で、プーッコでありながら他のプーッコとは一線を介している存在。また、その作り手も少ないのが現状。
と言うのもこのプーッコ、実はその伝統がフィンランドでは一度死に絶えかかった時期があったのだとか・・・で、
今回はその時、復活に尽力を尽くされた先生に習う機会がに恵まれました。
通常プーッコには、何がプーッコなのか?という定義は無い・・・とうか、あまりはっきりと定義できないのですが、そのプーッコに含まれるこのウーナ・ニーバスに関してはハッキリと線引きがあります。
・刃以外、主要部品は白樺とトナカイから採れた物を材にする
これは単純にラップランドでは他の材料の入手が難しいため。
・使用する金具は銀色であること
これは重要なポイントで、伝統的にサーミ人の装飾品は銀色。なので、そこに真鍮などの金色を持ってくるとコーディネートが崩れてしまうわけですw
・シース全体を革で覆わない。刃の収まる部分はトナカイの角で作るのが基本です。
このプーッコの見所はやはり柄とシースに彫られた模様。この模様はトナカイの角で出来た部分へ傷をつけるのではなく、チップカービングの要領で実際に模様を彫りこみ、そこへ墨を入れて作り出します。
色は2色、煤で入れる黒とハンノキの樹皮から作る染料で入れる茶色。珍しい物には白黒反転し、全体を黒く着色した後に彫り、線を白く出したものもあります。
模様以外の見所は形。特にシース下部の曲がりと、柄尻の形状の美しさ。柄尻の形状の美しさは作者の個性とセンスが問われる部分で、比べてみるとその違いが良く解ります。
シースの曲がりは、角の自然な曲がりを上手く利用して整形するので、その自然な美しさを上手く見極めて残すセンスが必要となります。ちなみに、右利きシースは右の角から、左は左の角から作ります。これは、シースにした時、その自然な曲がりのために、逆に使うととても座りの悪いものとなるためです。
写真は、私が習いながら作った物ですので美しくない部分が多く、あまりサンプルには向かないかもですが、ウーナ・ニーバスを呼べるような出来にはなってます.
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