今回はレウク(フィンランド語ではLeuku)、これもフィンランドの伝統的な刃物で、特にラップランドの民サーミ(もしくはサーメ)の生活に密着したナイフです。
・レウクとプーッコの違い
レウクとプーッコを比べたとき、すぐに目に付くのはその大きさ。約10cm前後の刃渡りを持つプーッコに対し、一般的なレウクは20cm前後。
Photo /写真提供: Weekend Woodsman |
長さもそうなのだが、刃幅、グラインドそしてハンドルの形状ももちろん異なる。
刃幅は広いが、エッジ幅は狭い。峰は真っ直ぐに、腹は比較的長くポイントに向け反りあがる。
プーッコと同じくヒルトを有せず、ハンドルとブレードの境は同じ幅。このため必然とグリップも幅が広くなるのだが、その代わりに薄め楕円形。
レウクのハンドルで最も特徴的で、重要なのは、ハンドルエンドのラッパ状の広がり。このハンドルエンドの形状は、どのレウクをとっても共通である。
・レウク色々
「どのレウクをとっても共通である」と書いたが、レウクにも色々有るのか?
プーッコにも色々と地域性があるようにレウクにも微妙な違いがある。今でこそフィンランド全域に広がっているレウクだが、もともとはサーメの特許ナイフのような物であった。それが人の動きと共に南下し、フィンランド全域で取り入れられるようになったのだが、この過程でブレードの形状に地域性も取り込まれた。
次の写真をみて欲しい。ブッシュクラフトフィンランドのメンバーでフィンランドのウッズマンシップの歴史に詳しいペルクナス(Perkele´s Blogの管理人)が選りすぐった、彼が最もレウクらしいと思うレウク5本。
Photo/写真提供:Perkele´s Blog |
それぞれのメイカーを紹介すると、写真上から>
- Pasi Hurttila
- Antti Mäkinen / YP- Taonta
- Tero Kotavuopio
- Ilkka Seikku
- Jani Ryynänen
(最下部のレウクは伝統的ではないエッジプロファイルを持つが、これはブッシュクラフト向けに特注した物であるため。また、この5人の中で、この作者は唯一のセミプロ鍛冶である。その他はプロの鍛冶屋。)
5人それぞれ違った出身に基づく鍛冶スタイルを持ち、レウクにはそれぞれの地域性が出ている。
ぱっと見ではわかりにくいかと思うが、エッジが峰に向かった反りあがる「腹」の膨らみ方に注目してもらいたい。
Tero Kotavuopio(上から3本目)のものはとても細くゆっくりと反っている。それに比べ、Jani Ryynänen(下から1本目)はとてもふっくらと反っている。この2本はレウクの両極端を良く表していると思う。そしてその他のレウクの殆どはこの中間に収まる。
つづく・・・