まずはこの↓写真をよく見ていただきたい。
メイカーは不明だが、典型的なカウハヴァ(Kauhava)のプーッコ |
このプーッコは70年代から80年代に作られたもので非常にプーッコらしい姿をしている。
細身のブレード、グリップを貫通してカシメられたタング、簡素なハンドル材(白樺)と形。独特な形のシース。
ここでまず注目してもらいたいのは刃元とヒルト部。高さが同じで、フィンガーガードがない。これは一見危険そうに見えるが、そもそもプーッコは対象を切ることを目的にした物。突くことをしないので作業中の取り回しの邪魔になるフィンガーガードはいらないのである。
次に注目してもらいたいのはシースのティップ部とハンドル・バットの鍵型。これはミトンの様な手袋をしていても掴み易く(抜きやすく)するためのもので、伝統的なプーッコは全てこれに類似する構造を持っている。
もう一本こちらの写真も同じところを注目してもらいたい。
これはマルッティーニのフィレッティングナイフ、正しくはヴェイチになるのだがハンドルとシースはプーッコである。これもよく見ると微妙に形は違うものの、やはりシースのティップ部とハンドル・バットは鍵型になっている。
ブレードの形についても、使いやすくするための工夫がある。全体的に細身で、ブレード厚はティップに向けて程よくテーパーがついている。この構造は、木などの加工作業をする時にとても回しやすく、大雑把な作業から細かな作業までをこなすことが出来る。また、基本的にはフラットグラインドなので、刃先の強さは多少犠牲になるが、鉋のような切れ味をだす。
もう一本フィンランドのプーッコを紹介する。こちらはヘボセンパープーッコ(Hevosenpääpuukko)と呼ばれるプーッコで、私が言うところの「ドレスプーッコ」、つまり「晴れの日のナイフ」になる。
写真:イーサッキヤルベンパー(Iisakki järvenpää)カウハヴァのプーッコ |
全体的に見るとブレードが長めに見えるが、やはり10cm前後である。これはハンドルが通常のプーッコよりも細め、短めなためで、実用性よりも装飾性が強くなっているためである。
このヘボセンパープーッコについてもう少し詳しく紹介したい。
ブレード>
・通常のプーッコよりも少し細め、雰囲気としてウォーダガー色が少しある。
・ベベルストップがある。
・一本の樋が掘られている。
ハンドル>
・ヒルトとポンメルは真鍮が使われ、タガネで装飾が施される。(写真のものは簡素な物)
・ハンドル材は白樺の樹皮が一般的。ここに真鍮線で装飾されることも多い。
・馬頭のヒルトが多いが、熊等のほかの動物をあしらった物も見られる。
シース>
・薄いレザーにインナーシースを入れて作られる。
・シースはレザーカービングや、真鍮板で飾られる物が多い。
・装飾性の強い鎖でダングラー式の吊り下げ。
・2本刺しのものもあるが(写真↑)一本刺しが基本。
このことからも解るように、このプーッコはドレスアップしたときにそのベルトへ下げる、いわばアクセサリーの様な位置付けになるのだが、もちろん実際の使用にも十分耐える。実際ポヒヤンマー(Pohjanmaa)の人々は日常生活でもこれを下げて町を徘徊していた様で、その様子は映画Härmä(ハルマ)<http://www.youtube.com/watch?v=Q9sspmasDTA>に描かれている。また、毎年独立記念日に行われる大統領官邸でのパーティーでは、民族衣装にこれを下げて出席する人もいる。もちろん竹光だとは思うが・・・
つづく・・・
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