2012/07/16

フィンランドのナイフ - プーッコ色々


では色々なプーッコについて話をしてみたいと思う。


現在プーッコと言うと、フィンランドのプーッコだけではなく、スウェーデンやノルウェーの伝統的なナイフも含まれる。これら北欧の伝統的ナイフを総称してプーッコとかスカンジナビアン・ナイフ(スカンジ・ナイフ)と英語圏では呼んでいる。フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、どのタイプもとても似通っていることからこう呼ばれるようになったのだが、ウンチクを言うと実は正しく無い。


まず、プーッコはフィンランド語なのでフィンランドのナイフだけを指すのが正しい。そしてスカンジ・ナイフと言った場合、フィンランドはスカンジナビアに含まれないのでこれも正しくはない。ノルディックナイフと呼べば地理的にも言語的にも正しいのだろうが、誰もそんな呼び方をしないので私一人が叫んでも意味のない話だ。

眠くなるウンチクはさておき、プーッコの形について少し説明する。国によってスカンジナビアンナイフはその形に違いがあるのだが、共通しているのは、刃渡りは10cm前後そしてタングはスティックタング(もしくはラットテール)であると良いう事。

プーッコ・ブレード(Yrjo Puronvarsi作)ブレード幅と、タング幅の違いに注目。 


そしてブレードは反りが無く、ポイントまでスパインが直線もしくは微妙にクリップポイント気味になっている物が一般的にプーッコの部類になる。

では、非共通な部分はどうだろうか?

フィンランド
>鎬から刃先までフラット(セカンダリーベベルなし)。
>一般的、伝統的にベベルストップは無い(ドレス・プーッコはこれに当てはまらない)
>全てではないが、断面はダイヤ型
>全鋼のものが殆ど。
ヘルシンキナイフショーより。Theo Eichorn作、フィンランド型プーッコ


スウェーデン
>鎬から刃先までフラットもしくは、わからない程度のホローグラインド。
>ベベルストップ在り。
>断面はスパインと鎬の厚さが同じ
>軟鉄に鋼を挟んだ物も多く見られる。
ヘルシンキナイフショーより。Simon Nylund作、スウェーデン型 


ノルウェー
>鎬から刃先までフラットもしくは、わからない程度のホローグラインド。
>ベベルストップ在り。
>断面はスパインと鎬の厚さが同じ
>ナイフをシースへ固定するボタンがハンドルバットにある物が多い。
<使用可能な写真なし。"vintage Norwegian knife"などで画像検索してください。>



全体的な容姿でステレオタイプを作るとこんな感じになる>
スウェーデン、ノルウェーは全体的に飾り気が有る。特にスウェーデンのものはハンドル材や、ヒルト、ポンメルの材料や装飾に凝った物が多い。
これに対しフィンランドのプーッコは飾り気があまりない、必要最低限の造りである。言ってしまえば「馬車馬」使えてナンボ、その代わり細かな所に使いやすくする工夫がされている。


こうしてみると、お国柄がナイフに出ている様に思える。森の民、フィンランドの物はとにかく使える道具。王国気質のスェーデンは派手目、王国であるが漁業の民ノルウェーは派手目ながらも紛失防止を重視。
もちろんこれは憶測であるが、そう考えると楽しい。





つづく・・・

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